マガ9学校にも登場いただいた畠山理仁さん、岩上安身さんや、現在連載中のおしどりさんも執筆されている『自由報道協会が追った3.11』が発売されました。この本の印税は全額「被災地支援プロジェクト」に回されるとのことです。
自由報道協会は、震災前の今年1月発足したジャーナリストの団体です。設立趣旨は、「日本全国の公的な記者会見の開放を訴えるとともに、記者会見を代行主催する非営利団体にすぎない。いわゆる『メディア』にはならない」としています。メンバーはフリーランスのジャーナリストを中心に、インターネットメディアや雑誌の記者や編集者などさまざまな人々が集まっています。
ゆえにこの震災・原発事故を切り取る手法も多種多様です。「石巻日日新聞」を追った渡部真さん、マスコミの来ない被災地・岩手県野田村を取材した烏賀陽弘道さん、原発工事関係者であふれかえるいわき市の不動産状況をレポートする中澤大樹さん、壊滅状態の三陸鉄道を訪ねた小川裕夫さん、東北の震災報道の陰になってしまった長野県栄村を訪れた渋井哲也さん…。
執筆者は25人。被災地とともに記者会見という「現場」での、同協会の皆さんの悪戦苦闘も印象的です。既成メディアの報道にはない視点があり、彼らが何を伝え何を伝えなかったか、その功罪や機能不全を厳しく、しかし冷静に指摘しています。皆それぞれの問題意識によるルポや写真は迫力満点。中には目を背けたくなるものもありますが、これこそが被災地の実態なのです。