万国郵便連合(UPU)が1957年、「世界の人々が文通によって文化の交流に努め、世界平和に貢献する」という趣旨で設定した「国際文通週間」。毎年、UPU創設記念日である10月9日を含む1週間をその週間と定めています。
UPUは、現存する国際機関としては最も古いもののひとつです。1874年、スイスのベルンで創設されました。目的は、「郵便業務の効果的運営によって諸国民間の通信連絡を増進し、かつ、文化、社会及び経済の分野における国際協力という崇高な目的の達成に貢献すること」(UPU憲章前文)。この翌年には明治維新直後の日本も加盟を果たしています。第2次大戦後の国際連合発足後は、その専門機関となりました。
日本で「国際文通週間」といえば、その切手が有名です。毎年発行されるその切手は浮世絵など歴史ある絵画をモチーフにしたものが多く、1958年に発行された最初のものは安藤広重「東海道五十三次」の「京師」。ほかに葛飾北斎「富嶽三十六景」や伊藤若冲「動植綵絵」、尾形光琳、円山応挙などの屏風絵、源氏物語絵巻や伴大納言絵巻に材を採り、変わったところでは平田郷陽や鹿児島寿蔵、堀柳女の人形といったものも。
近年では、先祖返りなのか、2000年から2009年まで「東海道五十三次」のシリーズが続きましたが(2006年は国連加盟50年のため違うデザイン)、昨年からは日本画の伊東深水、鏑木清方、上村松園の美人画をあしらった切手に。メールがこれだけ隆盛を極めている世の中ですが、直筆の手紙をもらう喜びはまた格別。「国際」ではないかもしれませんが、無沙汰をしている友人に、美しい切手を貼って手紙を送りたくなりました。
(参考資料:「特殊切手『国際文通週間にちなむ郵便切手』の発行」日本郵便ホームページ、『さくら日本切手カタログ2012』日本郵趣協会)