明日10月26日は「原子力の日」。東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、その信頼は失墜しましたが、昨年まではこの日を中心に原子力についての理解と認識を深める記念行事が開かれていました。
この日は1956年、日本が国際原子力機関(IAEA)へ加盟した日であることと、1963年、初めて原子力による発電が成功した日であることから、1964年に設けられたものです。行事としては、作文やポスターコンクール、シンポジウムや科学関連施設での教室などの開催が行われてきました。また、テレビCMが放映され、新聞広告が掲載されるのも恒例でしたが、この日に限らず展開していることは言うまでもありません。
例えば、2008年の第15回ポスターコンクールのキャッチコピー例として挙げられるものとしては「電気の1/3は原子力、ほかほかごはんも原子力のおかげ!」「原子力エネルギーはエコロジー!」「原子力はリサイクル上手」など。危険で問題のあるプルサーマルや出来てもいない地層処分、増え続ける核のゴミを考えると、信じがたい形容ばかり。しかし、このような「啓発」によって原子力の安全神話がつくられてきたわけです。
何より、ポスターコンクールを経済産業省資源エネルギー庁とともに主催していた文部科学省は、教育を司る役所でありながら、原子力の負の面を教える気はさらさらなかったようです。こうした公的機関以外にも、日本電機工業会が原子力広報ポスター用のコピーを募集するなど、官民挙げての一大キャンペーンでありました。さて、今年の「原子力の日」は何をやるのでしょうか。ちなみにこの日は「反原子力の日」でもあります。
(参考資料:第15回「原子力の日」ポスターコンクールパンフレット=PDF、JEMA一般社団法人日本電機工業会ホームページ)