今日から11月。そして米穀年度も始まります。会計や事務のために、1月から始まる年の数え方ではない1年間の区切りを「年度」といいます。通常の年暦とは違って今日から新しい2012年度の米穀年度となるのです。
日本の主食であるコメは、1942年、つまり戦中の食糧不足に対応するため制定された食糧管理法に基づいて国がその生産から流通までを、長らく一貫して管理してきました。かつてはコメの収穫が今よりも遅く、それに合わせて11月1日が米穀年度の始まりとなったそうです。ゆえに、早くなった現在の収穫時期とは合っていないのが現状です。
戦後も残った食糧管理制度は米穀事情の好転とともにだんだん緩められ、同法は1995年、食糧法に移行。さらに2004年に大幅に改正され、米流通制度の自由化がさらに推し進められました。これによって誰でも自由に米を販売したりすることが出来るようになりました。また今年からはコメの先物取引が72年ぶりに復活し、投機の対象になっています。
日本の古称は「瑞穂の国」。みずみずしい稲穂、すなわち稲の多く獲れる国ということです。しかし、前述のとおり翻弄されてきたコメを取り巻く環境は内憂外患。世界最大のコメ輸出国であるタイの水害をはじめとする異常気象やTPP交渉の行方、何より収束の見えない東電福島原発事故の影響…。新しい米穀年度はどうなるか、誰にも分かりません。