きょう11月8日は、上方落語の若き後継者として期待された桂吉朝(かつら・きっちょう)さんの7回忌です。50歳という、落語家としてはあまりにも早すぎる死でした。
1954年堺市生まれの吉朝さんは、高校卒業後桂米朝さんに弟子入り。「質屋蔵」「猫の忠信」などを得意とし、その端正な芸は師匠譲りと言われましたが、その一方、中島らもさんの劇団「笑殺軍団リリパット・アーミー」で役者として活動、さらに茂山千五郎さんらとともに「落語」と「狂言」を合体させた「落言(らくげん)」という舞台を創造するなど、まさに八面六臂の活躍でした。
しかし、やはり本分は落語です。米朝さんが、自身がトチったあと「吉朝に聞いてくれ」と言うほど師匠にも一目置かれ、まさに米朝落語の“後継者”として将来を大いに嘱望されていました。亡くなる直前まで、小米朝さんの「米朝」襲名とともに、吉朝さんの「米團治」襲名の話が進んでいたのですが、結局実現することはなく、小米朝さんが「5代目桂米團治」を襲名しました。
掌中の珠を失った米朝さんの悲しみはいかばかりと思いますが、吉朝さんの弟子はその衣鉢を継いでいます。NHK大河ドラマ『新選組!』や朝の連続ドラマ『ちりとてちん』に出演した吉弥さん、『桂吉坊がきく 藝』を出版した吉坊さんなど多士済々。7回忌の追善落語会は一門が勢揃いし、今月25日に大阪の国立文楽劇場、12月17日に東京の国立劇場演芸場で開かれます。