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日めくり編集メモ 213

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鹿児島県大隅半島の南、種子島に寄り添うように浮かぶ馬毛島(まげしま)。固有亜種マゲシカをはじめとする貴重な自然が注目されていますが、米軍機の訓練場とする計画に振り回され、この小さな島は揺れています。

馬毛島は面積8.2平方キロメートルの平坦な島です。古来種子島家の領地でしたが、明治となってから短角牛や緬羊などの牧場として開発され、1951年には国が入植者を募集。1959年のピーク時は113世帯528人が生活し、小中学校や郵便局もあったそうです。しかし害虫の大量発生や気象条件の厳しさなどで島を離れる人が続出し、1980年に無人島になりました。

2006年に米空母艦載機離着陸訓練(FCLP)の候補地を馬毛島とする計画が浮上。今年6月21日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)が発表した共同文書に、FCLPの移転検討先として明記されました。地元は説明がないまま文書化されたことに反発、鹿児島県の伊藤祐一郎知事も11月21日、反対を表明しました。一方、振興を条件に受け入れ賛成派も活動しています。

この島をめぐっては、石油備蓄基地や核燃料貯蔵施設、さらにはレーダー基地など、国策を称したいろいろな開発計画がありました。そして今、島のほぼ全域を所有するタストン・エアポート(旧・馬毛島開発)の滑走路建設が法令違反を疑われており、伊藤知事は開発許可の取り消しも検討中。一体何をそんなに急いで滑走路を造っているのか、疑念は深まります。

(参考資料:『角川日本地名大辞典46 鹿児島県』角川書店、鹿児島県ホームページ「戦後開拓/厳しい生活 離農者続出」南日本新聞2011年11月11日付「馬毛島『開発』の30年」「馬毛島の開発許可取り消し検討 鹿児島県知事」南日本新聞2011年11月18日付馬毛島の自然を守る会・屋久島ホームページ

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