映画化もされた『星守る犬』の作者・村上たかしさんと、伝説の漫画家・あすなひろしさん。このお二方の原画展が、東広島市・JR西条駅近くの「くぐり門」で12月11日まで開かれています。
村上たかしさんは1965年大阪生まれ。大学在学中の1986年、「週刊ヤングジャンプ」33号から『ナマケモノが見てた』の連載を始めました。また、同誌連載の『ぱじ』は2000年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。4コマが多かった村上さんですが、叙情的なストーリー漫画も著すようになり、「週刊漫画アクション」に載った『星守る犬』は大反響を巻き起こして単行本化され、「泣ける本No.1」として評判になりました。
あすなひろしさんは1941年生まれ。広島県で育ち、1959年「少女クラブ冬の号」に『まぼろしの騎士』でデビュー。ペンタッチは驚くほど緻密で、繊細な表現は他の追随を許しません。1972年、『とうちゃんのかわいいおヨメさん』『走れ!ボロ』で第18回小学館漫画賞を受賞し、少女漫画、少年漫画、青年漫画と幅広く活躍しました。晩年は寡作となり、2001年に肺癌のため亡くなりましたが、近年は再評価の声が高くなっています。
長く関西に暮らしていた村上さんが、妻・佳代さんの実家である広島に引っ越してきたのは4年前。東広島は「西条酒」で有名な酒どころで、会場である「くぐり門」は大正からの町並みが残る酒蔵通りにある建物です。また、村上さんもあすなさんのことを尊敬しており、あすなさんが通った小学校も会場からすぐのところにあるとのことです。時を隔てて出会った2人の漫画家の美しく貴重な原画を、ぜひご鑑賞ください。
(参考資料:村上家日記、あすなひろし公式サイト)