「芭蕉布」「豊年音頭」「娘ジントヨー」など、沖縄を代表する作曲家である普久原恒勇(つねお)さんの作曲活動50周年記念コンサートが、12月25日、沖縄市民会館で開かれました。
普久原さんは1932年、大阪生まれ。生まれてすぐ、当地で沖縄民謡のレーベル「マルフクレコード」を運営していた伯父・普久原朝喜の養子となります。朝喜は活発な創作活動によって「現代沖縄民謡の祖」と呼ばれ、「チコンキー(蓄音器)フクバル」と親しまれた人物。普久原さんは就学などで一時期沖縄へ帰郷しますが、終戦後帰阪し、朝喜の下でレコード製作の仕事を始めました。1959年、このレーベルを引き継ぎ、拠点を己のルーツ・沖縄に移動します。
この間、大阪の専門学校でクラシックを学んだことで普久原さんは、沖縄民謡にとどまらぬ音楽的素養を身に着けます。1961年に処女作「月眺み」を発表。これ以前は、西洋音楽の形式を導入した沖縄民謡はなかったということです。作曲した名曲の数々は「普久原メロディー」として沖縄の人々に広く親しまれています。音楽プロデューサーとしても『嘉手苅林昌特集』など名盤をリリースし、また匿名での活動でしたが、沖縄屈指の三線奏者でもあるのです。
先日のコンサートでは、最初の「普久原門下生」である唐真達子さんが「ゆうなの花」などを歌ったほか、フォーシスターズやホップトーンズ、でいご娘など、戦後の沖縄民謡を支えた歌い手たちが一堂に会しました。さらに史曲「尚円」、詩曲「響(とよむ)」など幅広い演目が披露され、フィナーレには、今や“沖縄国歌”といわれる「芭蕉布」を出演者全員で合唱。まさに沖縄音楽のスタンダードと言うべき「普久原メロディー」はこれからもずっと歌い続けられることでしょう。
(参考資料:「普久原メロディー未来へ 恒勇さん50周年公演」琉球新報2011年12月26日付、磯田健一郎編著『芭蕉布 普久原恒勇が語る沖縄・島の音と光』ボーダーインク)