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お正月休みに読みたい本、その1/芳地隆之さんのオススメ

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 いよいよ明日で2011年も終わり。お正月休み、久しぶりにゆっくり本でも読もう、という方も多いことでしょう(年末年始もお仕事の方はごめんなさい!)。

 ということで、年末ぎりぎりになってしまいましたが、「マガ9」コラム執筆陣&スタッフがおすすめする「お正月休みに読みたい本&見たいDVD」。まずは「マガ9レビュー」などでおなじみ、芳地孝之さんのオススメ本です。

●「文明の災禍」内山節(新潮新書)

3月11日、私たちは大地震と原発事故の恐怖を味わっただけでなく、自分たちの生活がいかに脆弱なシステムの上に成り立っているのかを痛感させられました。時代の閉塞感の原因は、政治の迷走や経済の停滞にではなく、私たちの手の及ばないところで私たちの生殺与奪の権が握られていることにあるのではないか。「巨大システムに依存してしか生きることのできない群衆」(著者)である私たちが、そのような存在から脱却するには、自分の手の届く範囲から生活を立て直していくしかないのかもしれません。長い歳月をかけて引き継がれてきた祖先の叡智をどう生かしていくか。1年の半分を群馬の上野村で暮らす哲学者の著者による、生きることの手触り感を取り戻すための本です。

 

●「私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。」飯田哲也/上杉隆/内田樹/江田憲司/開沼博/小出裕章/古賀茂明/坂本龍一/高橋源一郎/田中三彦/藤原帰一/保坂展人/丸山重威/和田光弘(ロッキング オン)

12月28日に発売されたばかりの本書は、長くポップミュージックの世界に身を置いている渋谷陽一氏が責任編集する季刊誌『SIGHT』が組んだ原発特集(2011年夏号「自民・東電・メディアがつくった原発日本」と同年秋号「私たちは、原発を止めるには日本を変えなければならないと思っています。」)に掲載されたインタビュー&対談をまとめたもの。政治、経済、エネルギー、マスメディア、歴史と様々な視点から、原発の問題を浮き彫りにしていきます。それほど原発という存在は日本社会のいたるところに巣食っているということ。同誌の最新号(2011年冬号)も原発特集「原発報道を終わらせようとしているのは誰だ」。論壇誌が相次いで廃刊に追い込まれていくなか、いくつものロングインタビューによって時代が抱える問題に焦点を当てる『SIGHT』は貴重なオピニオン誌です。

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