米軍普天間基地の名護市辺野古への移設は、選挙を通じて沖縄県民の民意が拒絶していることは明白で、事実上頓挫しています。その上、県議会もアセス評価書の提出を断念するよう求める意見書案を全会一致で可決してもいるのです。にもかかわらずこの移設に執心する政府は計画を着々と進めており、今回の提出は、計画進展を求める米国の意向を汲んだものといわれています。地元の理解が得られていない中での提出は、アセス自体の信頼を根本から揺るがしました。
このアセスの非合理性の筆頭に挙げられるのは、配備が予想される垂直離着陸輸送機MV22オスプレイに関する記述を評価書の段階で初めて入れたことです。この機は現有のヘリ以上の騒音と、高温の排ガスによる離陸時の火災の懸念などの問題があります。また絶滅危惧種であるジュゴンの生息に関しても「直接的な影響はない」と判断、まるで結論ありきのような杜撰な内容です。普天間基地の「固定化」を引き合いに、辺野古受け入れを甘受せよ、と言いたいのでしょうか。
年内に提出するという面目を施したい防衛局は配送業者に届けさせましたが、抗議活動で引き返さざるを得なかくなり、さらに翌日の夜明け前に夜陰に乗じて守衛室に搬入。まったく異常事態と言わざるを得ません。県は、評価書に不足があり受理要件を満たしてないとして保留していますが、この追加分が搬入されるのを阻止すべく座り込みが続いています。集まっているのは数十人ですが、国会議員、県会議員も駆けつけ、彼らの背後には数十万の県民の意思があるのです。
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