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日めくり編集メモ 234

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何度倒しても立ち上がってくるゾンビのような、私たちの生活が制限されかねない「共謀罪」。この法整備を目指す考えを、政府が国際機関に伝達したとの報道が年初にありました。

共謀罪はその名の通り、犯罪を実行しなくてもそれをしようと話し合っただけで処罰するというもの。思うことや話すことと、実行することはそれぞれ別のはずです。2005年に法務省が衆議院に提出した資料によると、その対象は国際犯罪だけでなく、実に広範。また現行の刑事法体系との矛盾も指摘されており、何よりも憲法の保障する内心の自由や言論・表現・結社の自由を侵害することは明白です。

先述の記事にも「国連総会で採択された『国際組織犯罪防止条約』が求める法整備の一環」であり、この条約に署名したものの「共謀罪を創設していないため主要国(G8)で唯一、条約を締結できていない」と必要であるかのようにあります。しかし、この条約の批准に共謀罪の法整備が求められているかどうかは甚だ疑問です。そしてこのように「テロに対応できない」ように煽るメディアの責任もあります。

共謀罪の創設法案は2004年に初めて国会に提出されましたが、継続審議や廃案が続きました。国民的な反対運動のほか、当時野党だった民主党が反対していたからです。果たして官僚に屈服した野田首相はこれまでの党の考えを翻して創設に突き進むのでしょうか。平岡法相は、野党時代から共謀罪に反対していた人物です。今日にも予想される内閣改造での法相人事がどうなるか、予断を許しません。
(参考資料:「「共謀罪」を国際公約 政府が5月まで法整備を伝達 法相・民主に慎重論」産経新聞201214日付「共謀罪 5つの質問」自由法曹団ホームページ

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