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日めくり編集メモ 236

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東京都の公立学校の教職員が、卒業式などの式典で、君が代を斉唱する際に起立しなかったなどとして受けた処分の取り消しを求めた上告審の判決が16日、最高裁判所でありました

最高裁第1小法廷の金築誠志裁判長は「戒告は基本的に裁量権の範囲内だが、減給以上の重い処分の選択には慎重な考慮が必要」という初めての判断を示し、教員2人の停職処分と減給処分取り消しました、戒告の処分については2審の東京高裁判決を破棄し、教職員側の訴えを退けました。言わば戒告よりも重い処分については一定の歯止めを掛けたものの、小手先の印象は拭えません

大阪府では、公立学校の教職員に君が代斉唱・起立を義務づける条例が全国で初めて成立しており、この補完として同じ違反を3度で直ちに免職処分という規定を盛り込んだ条例案を府議会に提出しています。この条例の原動力である橋下徹大阪市長は同市でも条例化を目指す姿勢を明らかにしていますが、この判決にどう対応するでしょうか。何より、教育基本法は教育行政の独立を定めているのです。

国旗・国歌法が成立したのは1999年。成立時の小渕首相は「法制化に伴い、国旗に対する尊重規定や侮辱罪を創設することは考えておりません」と答弁しました。しかし今や事実上の尊重規定が出来上がり、教育現場は教職員間の意見交換もなく、上意下達の場となっています。自ら考え、ものを言える人間よりも、指示や命令に従う人間のほうが都合よいという社会のあり方自体を考えなくてはなりません
(参考資料:小野善康「国旗・国歌法の立法過程の検討-憲法学の立場から-」アルテス リベラレス(岩手大学人文社会学部紀要)第68号=pdf

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