きょう、野田首相が沖縄を訪れていますが、去る13日沖縄ではこんな事件がありました。浦添市の米軍基地内のフェンスに面した場所で、米兵が銃を持って訓練している姿が見られたのです。フェンスの外は大動脈の国道58号。一部の兵士は国道に銃口を向けていました。
浦添市の海岸の大部分を占める米軍牧港補給地区はキャンプ・キンザーと呼ばれています。ここで目撃された米兵の訓練は沖縄県民に衝撃を与えました。訓練していた米兵は40人ほど。多くは国道の反対方向に銃口を向けていましたが、一部の兵士は国道と平行に銃口を向けており、バス停で待っている人を狙っているかのような行動も。中にはフェンスのごく近くで銃を構えていた兵士もいたということです。実弾が入っていたかどうかは分かりません。
この事件の動画を見ると、その異常さが伝わってきます。同様の問題は2005年10月にも起きており、基地ではフェンスから7.5メートル以内での訓練を禁じています。基地の司令官は浦添市長に謝罪し、再発防止を約束しました。米軍基地が隣り合わせにあることが日常化している沖縄でさえ、この事件は市民に不安を与えました。この国道の反対側は住宅地であり、沖縄本島を縦断する国道58号は観光客も利用する大動脈。そのすぐ脇でのことだったのですから。
沖縄での米兵による犯罪は枚挙に暇がないほどですが、それは本来公務外でのこと。指揮下にある訓練中での不祥事だからこそ、皆不安に駆られるのです。訪沖した野田首相は、日米同盟の重要性を高らかに謳い上げるのでしょうが、こうした草の根の県民感情を見誤ってはなりません。そして、これがもし、本土内の基地で起こった問題だったらどうなったでしょうか。私たちも「沖縄の問題」と矮小化することなく、自身の問題として考えなくてはなりません。