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日めくり編集メモ 255

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もうすぐ東日本大震災から1年経ちますが、なかなかはかどらない被災地の瓦礫処理について、意見の対立が先鋭化しているようです(もともとは被災者の皆さんのものを「瓦礫」と表現することは心苦しいのですが、お許しください)。

先日のスポーツニッポンに「作家の伊集院静さんが瓦礫処理に国民一丸とならない現状にいら立ちを募らせている」との記事が載っていました。 受け入れを拒否する自治体に対し「それでも日本人か、恥を知れ」とお怒りですが、ここは精神論ではない説得が求められます。20年かけて現地で処理したいという岩手県岩泉町長もいれば、即刻片付けて復興したいという自治体もあるでしょう。「被災地の瓦礫」という一言で括ること自体がおかしいのです。

 

処理に反対する人は、放射性物質への不安が根強いと思いますが当然です。事故前は安全神話を繰り広げ、その後もお粗末な対策しかできなかった政府や科学者に 対しての不信は全く払拭されていません。化学物質の拡散防止や測定方法の透明化などを徹底し、こうした声にきちんと答え、不安と不信を一つ一つ取り除いて いかないと問題の解決は遠いでしょう。また、遠距離を移動させてまで処理をする費用対効果も考えなくてはなりません。


さらに、焼却場排気口のフィルターの整備や、焼却灰をどのように最終処分するかなど解決しなくてはならない問題は目白押しです。岩手・宮城両県の瓦礫は2000万トン超。「阪神・淡路大震災と同じ3年で処理」という公約は、役人的前例主義でしかありません。何よりも、昨年8月に成立した「放射性物質環境汚染対処特別措置法」は広域処理の根拠法ではなく、受け入れが地方自治体の判断に任せられていることが問題なのではないでしょうか。

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