前回も小欄でお伝えした高江ヘリパッド訴訟の判決が14日、那覇地裁でありました。被告2人のうち1人に妨害行動の禁止を命じましたが、はなはだ疑問の残る判決でした。
ひとつは被告への判断が分かれた点です。高江の反対運動は非暴力の座り込みや、両手を挙げて説明を求めるなどに徹してきました。被告2人の行動に違いはほとんど見られませんが、証拠の写真の数が違っていたという程度の差によって判断が分かれる理不尽さ。どうにも説得力がなく、国のメンツを立てるためだけに1人を狙い撃ちしたのではないかと言う支援者もいるほどです。
もうひとつはスラップ訴訟との認定がなかった点。権力側が提訴することで、被告や関係者の活動を萎縮させる効果を狙ったスラップ訴訟。しかしこの判決は、なぜ国が住民を提訴したかという背景に踏み込んでいません。訴えられたことで、時間、労力、金銭、そして何よりも精神的な負担は2人にどれだけ掛けられたことでしょう。住民が反対運動をする権利自体を侵害する訴えでした。
座り込みなど非暴力行為にこのような判断が示されては、国などへの施策に反対する運動はどのように展開すればよいのでしょうか。今後の各地のに多大な影響を与えることは間違いありません。今回の判決は「通行妨害」といった一部分だけを切り取ったもので、非常に残念ですが、裁判長も「判決が真の紛争解決にならない」と述べ、2回にわたって和解を勧告したことは意味深長です。