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日めくり編集メモ 264

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愛媛県の県庁所在地・松山市の水道業務を、外資系企業である「ヴェオリア・ウォーター・ジャパン」が受託したことに、波紋が広がっています。運営は新年度から開始される予定です。

日本法人であるヴェオリア・ウォーター・ジャパンの親会社、ヴェオリア・ウォーターはフランスを拠点に世界67カ国に展開しており、「水」ビジネスではスエズ、テムズと並び、トップ3と言われている企業です。日本ではこれまでも松山市をはじめ、広島市や京都市で水処理プラントの運用保守契約を獲得しています。今回のケースは、外資系企業が単独で日本の自治体の水道業務を受託する初めてのものとなります。

松山市は、水道事業の運営者を公募型プロポーザル(企画競争)で選んでいます。2004年度から三菱商事などが出資するジャパンウォーター社が浄水場の運転に携わってきましたが、今回ヴェオリア社と一騎打ちになり敗れてしまいました。この公募型プロポーザルは、随意契約に比べて透明性が高いのですが、前提として、水道事業といった公共的なインフラに、民間企業が参入すべきなのか疑問が湧きます。

世界的に見ると「水」ビジネスは地球上を席捲しています。企業は利潤を追求することが目標ですから、それが出来なくなってリストラや撤退になった場合、誰がそのツケを払うのでしょうか。ボリビアやフィリピンではそうした例が実際に起こっています。生命を維持するのに不可欠な「水」が商品化されることが、果たしてよいことなのでしょうか。今や私たちの周りではボトル詰めの水が普通の光景になっていますが…。

(参考資料:「外資が水道事業で攻勢、仏ヴェオリアが松山市から受託」日本経済新聞2012年3月13日付世界の水事情:今泉大輔さんのコラム 第4回「ヴェオリアウォーターの韓国仁川市下水処理場事例」、モード・バーロウ トニー・クラーク『「水」戦争の世紀』集英社新書)

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