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日めくり編集メモ 270

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聞いた瞬間耳を疑いました。環境省の横光克彦副大臣は、水俣病被害者救済法による救済措置を巡り、水俣病不知火患者会などが行っている患者の掘り起こしについて「期限後は迷惑」と発言しました。

この発言は、地元11団体との意見交換のため熊本県などを訪れていた横光副大臣が行ったもの。水俣市の北に位置する津奈木町での、既に救済の終わった団体との面会で、「このままでは7月末で申請を締め切れないのでは」という質問に対し、「期限後には、こういった動きは慎んでもらわないといけない」と指摘。「いつまでも掘り起こしが続くと、ほかの団体に迷惑がかかる。(不知火患者会などに)理解を求めていきたい」と述べたのです。

 

他団体との面会で、同副大臣は「救済開始から3年をめどに対象者を確定するとした法に従うしかない」との立場を繰り返すばかり。水俣病不知火患者会事務局長は「被害者ときちんと向き合おうとしない発言だ我々は申請期限に関係なく、被害者の掘り起こしを続けていく」と批判しましたが、この公害発覚から50年以上経っても、自ら名乗り出ることを躊躇する人がいるのか、その背景がなぜ副大臣には想像できないのでしょうか。

 

横光副大臣といえば、今でもテレビドラマ『特捜最前線』の紅林刑事役だったことを覚えている方も多いことでしょう。俳優をやめた後、当時の日本社会党の推薦で1993年、旧大分2区に無所属で立候補し初当選。その後社会党から民主党に移りました。旧社会党、九州選出、何よりも真面目な紅林刑事のイメージのある横光氏がこのような発言をすること自体ショックでした。時間を限りそれ以外は認めぬ、まさに官僚の発言そのものだったからです。

(参考資料:「水俣病、期限後の掘り起こしは迷惑…環境副大臣」読売新聞201248日付、期限延長、重ねて否定 水俣病救済で横光副大臣」熊本日日新聞201248日付

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