マガ9editor's room

マガ9編集部発の情報やスタッフが書いたコラムを随時お届けします。

日めくり編集メモ 276

| トラックバック(0)

1975年のヒット曲、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』。このように横浜と横須賀は神奈川県を代表する港町であると同時に、若者文化の発信地でもありました。21日から神奈川県立歴史博物館で「ヨコハマ・ヨコスカ ストーリー~二つの港町の戦後文化~」が始まりました。

横浜は幕末から文明開化の波にさらされて発展し、また横須賀は東京湾の入り口に位置することもあって旧日本海軍の軍港として整備されてきました。戦前、既に大都市であったがゆえに太平洋戦争で壊滅的に破壊され、戦後になって進駐してきた米軍によって変貌していきます。米兵をはじめとする外国人が闊歩し、彼らの文化があっという間に広まっていきます。音楽、映画、洋服、食べ物…。

例えば、スカジャン。米兵が日本駐在の記念に自分のジャケットに和風の刺繍を入れたのが始まりと言われており、最初期のものは落下傘の生地から仕立てたことでも知られます。また、例えばジャズ。有数のビッグバンド「シャープス・アンド・フラッツ」のリーダーだった原信夫さんは、海軍の音楽隊に所属していましたが、戦後、横須賀のEMクラブ(下士官クラブ)でジャズの洗礼を受けたひとりです。

戦後の苦難にあえいでいた人々は、戦争や軍隊の影響下にあるそれらの文化を大胆に受け入れていきます。スカジャンもジャズも今やすっかり一般に根付いていますが、その最初の受容と定着はここ横浜・横須賀から始まったのです。他にも復興のきっかけとなった貿易博覧会の品々や当時の写真、レコード、輸出用のブリキのおもちゃなども展示。この展覧会は6月17日まで開催されています。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://daily.magazine9.jp/mt/mt-tb.cgi/742