今日6月22日は「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」です。厚生労働省前では、同省主催の追悼、慰霊及び名誉回復の行事が行われ、各地でもこの日前後を含め、講演会やパネル展が開催されます。
2001年のこの日、「ハンセン病補償法」が公布・施行されました。この法律は、らい予防法によってハンセン病患者を療養施設へ強制的に隔離した施策の誤りを認め、国に賠償を命じた同年5月の熊本地裁判決を受け、補償金を支払うことを定めたもの。2006年2月には改正ハンセン病補償法が成立し、戦前、療養所に入所していた台湾、韓国の元患者にも補償金が支払われることになりました。
ハンセン病は、かつては治す薬がなく肉体的変形を伴うので、長いこと差別の対象とされてきました。米国で発明された特効薬プロミンは、日本では1947年から使われるようになり、「ハンセン病は治る」時代となりました。しかし1958年に旧らい予防法が改正されながら本質は変わらず、強制収容によって患者を終生隔離し、退所規定がないという人権無視の思想はそのまま受け継がれたのです。
こうしてハンセン病患者は、強制的に家族から引き離され、故郷から離れた療養所へ隔離されたまま、差別と偏見に苦しんできました。らい予防法は1996年廃止され、現在でこそようやく実態が伝えられるようになりましたが、苛酷な運命に翻弄されてきた人々の闘いを風化させてはなりません。高齢化の進む患者と社会とを、人間関係回復のためにつなぎ直す時間はあまり残されてはいないのです。
(参考資料:国立ハンセン病資料館ホームページ、社団法人好善社ホームページ)