最も人口に膾炙している作品は、三越の包装紙「華ひらく」でしょうか。画家、猪熊弦一郎の展覧会『いのくまさん』が横浜・そごう美術館で開かれています(9月9日まで)。
猪熊弦一郎は1902年、香川県に生まれ、東京美術学校(現東京藝術大学美術学部)で藤島武二に師事。1932年、パリに渡り、アンリ・マティスに学びますが、第2次大戦が勃発し帰国を余儀なくされます。戦後1948年から39年間描き続けた「小説新潮」の表紙や、上野駅の大壁画「自由」、そして先述の「華ひらく」で広く知られるようになりました。
これらの作品は、猪熊の 「芸術は一部の人のものではなく、すべての人に開かれているべきだ」という考えから。その後も米ニューヨークやハワイなど活動の拠点を移しながら制作を続けました。ピカソ、藤田嗣治、イサム・ノグチ、ジャスパー・ジョーンズなど、さまざまな芸術家と親交を深めたことでも知られています。1993年、90歳で亡くなりました。
今回は、2007年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2010年に東京オペラシティアートギャラリーで開かれた展覧会の横浜展です。猪熊さんと詩人の谷川俊太郎さんとの合作による絵本『いのくまさん』を元に構成され、「じぶんのかお」「ほかのひとのかお」「とり」「ねこ」「かたち」「いろ」などのテーマに分け、約120点が展示されています。
(参考資料:そごう美術館ホームページ、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館ホームページ)