広島・長崎の被爆者の中でも「母と子」にテーマを絞った朗読劇「この子たちの夏 1945・ヒロシマ ナガサキ」が、8月10日の佐賀・鹿島市を皮切りに全国4カ所で上演されます。
1985年の初演以来、全国47都道府県、 393市町村で772回の公演を行ってきたこの朗読劇ですが、制作母体の地人会が2007年に解散し、上演は途切れてしまいました。再演を望む声が多く寄せられたのを機に、出演メンバーも戦後世代に一新。戦争を知らない世代がさらなる若者たちに被爆者の思いを伝えようと、昨年実行委員会形式で復活したのです。
構成・演出は木村光一さん。死を直前にした子どもたちの言葉、叱ったまま学校へ送り出した母の後悔など、普通の生活を送っていた人々の言葉が心に染み渡ります。そこには「もっと生きたかった」という彼らの思いが見え隠れしています。朗読するのは、かとうかず子さん、古村比呂さん、高橋礼恵さん、床嶋佳子さ ん、西山水木さん、原日出子さんの6人。
「この子たちの夏 1945・ヒロシマ ナガサキ」で語られる言葉を聞くと、「今」が、原爆で命を落とした彼らの死の延長線上にあることを実感させられます。昨年に続き出演のかとうかず子さんは「この作品では声高ではなく、事実が淡々とつづられます。被爆者の味わった恐怖、痛みを同じ国の人間として感じることも必要なのではないでしょうか」と語っています。
※ 公演日程は次の通り。8月10日(金)19時=佐賀県・鹿島市民会館▽12日(日)15時=滋賀県草津市・しが県民芸術創造館ホール▽18日(土)13 時、17時、19日(日)14時=東京・世田谷パブリックシアター▽22日(水)18時半=新潟県佐渡市・アミューズメント佐渡大ホール