終戦記念日の8月15日、沖縄戦被害の国家賠償を求める訴訟が那覇地裁に提訴されました。被害者の救済を怠った国の立法不作為を追及し、「受忍論」に抗う新たな動きです。
この裁判は「命どぅ宝裁判」とも呼ばれ、沖縄戦の空襲や艦砲射撃、集団自決(強制集団死)などの被害者とその遺族40人が原告となっています。原告は、戦闘行為による住民の死傷を「不法行為」、被害の放置は「人格権の侵害」と指摘。国に総額4億4000万円、1人当たり1100万円の支払いと謝罪を求めています。
太平洋戦争での空襲による被害者たちによる援護法制定を求める動きもあります。東京大空襲訴訟はその一つで、民間人が国を相手に集団訴訟した初めてのもの。下級審での判決はいずれも「受忍論」を盾に退けられましたが、この論は言わば「非常時には国は国民を切り捨てる」と認めているようなものです。
戦争の被害を受けた民間人は補償を全く何ら受けていません。障碍者や孤児になった人は大変な苦労を重ねてきました。片や、国は軍人・軍属の遺族や障碍者に総額約50兆円を支出してきました。戦後60年以上が経ち、被害者の高齢化が進みます。「この国が人間を大事にする国であるかどうか」が問われているのです。
(参考資料:全国空襲被害者連絡協議会Webサイト)