名古屋市民に親しまれ、入園者数は全国3位を誇る千種区の東山動植物園。餌代を捻出するために、動物ごとに企業とスポンサー契約を結ぼうとしている、というニュースは世知辛いものでした。
今月18日の名古屋市議会で市側が導入方針を明らかにしました。東山動植物園では、これまでも企業からの寄付制度があり、支援企業名を獣舎の前に掲示するなどしていましたが、寄付額が年によって変動することもあって、長期的に定額の支援をしてくれるスポンサーを探すためにこのような制度を考えたようです。
餌代トップはコアラ6頭で年に5650万円。餌のユーカリが日本にはほとんどないために、金額がかさむようです。次いでゾウ4頭で1220万円、サイ5頭で590万円と続き、締めて年間で約1億5千万円かかっているとのこと。市はこの制度で、プロスポーツ選手のように動物を企業とさらにコラボさせていきたい、としています。
しかし動物はキャラクターになるもの、かわいいものばかりではありません。人気のない動物はどうするのでしょう。動物園は、教育・研究施設として重要な施設です。このスポンサー制度は餌代を補うのが目的だとしても、結果的に「カネにならないものはいらない」という新自由主義的な風潮を感じずにはいられません。
(参考資料:「動物スポンサーを募る 東山動物園が導入意向」中日新聞2012年9月18日付夕刊、「名古屋市の東山動物園が動物ごとにスポンサー契約へ」FNN=フジニュースネットワーク2012年9月20日 18:16)