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日めくり編集メモ 341

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日本を代表するデザイナー・田中一光が亡くなって10年。その仕事を振り返る展覧会「田中一光とデザインの前後左右」が、東京ミッドタウン内のデザイン施設「21_21 DESIGN SIGHT」で開かれています(2013年1月20日まで)。

田中は1930年奈良県生まれ。京都市立美術専門学校(現京都市立芸術大学) を卒業後、ライトパブリシティなどを経て、亀倉雄策や原弘などとともに日本デザインセンターの創立に参画します。1963年田中一光デザイン室を設立して 独立。1973年に西武劇場(現パルコ劇場)の「座付きポスター作家」としてグラフィックデザイン全般を担当したことをきっかけに、セゾングループのアー トディレクターとしてポスターや包装紙などを手がけました。現在でも使われている「無印良品」のネーミングとロゴは彼の作品です。

 

初期のよく知られる作品が能のポスターだったように、日本の伝統と西洋の近代デザインを融合。独自の様式を確立させたことが高く評価され、パリやニューヨークなどでも個展を開きました。日本グラフィックデザイナー協会理事を務め、芸術選奨新人賞、毎日芸術賞、朝日賞など各賞を受賞、2000年に文化功労者となるなど、グラフィックデザイナーとしての頂点を極めました。人柄も柔和で面倒見もよく、皆に好かれる人物でしたが、2002年に自宅そばの路上で倒れ、虚血性心不全で急死してしまいました。

 

今でも惜しまれる彼の業績を振り返る今回の展覧会は、田中の著書『デザインの前後左右』に根ざし、その発想の広がりと表現の着地するさまを多彩にとりあげます。仕事の主軸となるグラフィックデザイン作品を中心に、映像や図版、記録資料など、活動の実際を示す貴重なアーカイブも紹介されるとのことで楽しみです。これに合わせて、先述の「無印良品」でも、田中を紹介する展示が3店舗で行われ、「無印良品:の思想を表現した田中デザインのスケジュール帳など限定商品が販売されるということです。

(参考資料:21_21 DESIGN SIGHTホームページ、『田中一光回顧展 われらデザインの時代 図録』朝日新聞社)

 

※ 「無印良品」での展示は、MUJI 東京ミッドタウン(9月21日-10月28日)、MUJI キャナルシティ博多(11月16日-12月16日)、無印良品 有楽町(12月28日-2013年1月20日)の3店舗です。

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