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日めくり編集メモ 353

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1960年代から70年代に少女期を送った人なら、誰でも一度は見たことのある瞳の大きな可愛らしい女の子のイラスト…。その描き手である内藤ルネさんが亡くなったのは2007年10月24日でした。

ルネさんは1932年、愛知県生まれ。戦争中の少年時代に出合った抒情画家中原淳一が描く少女画に憧れました。戦後、手紙を出したのをきっかけに中原が主宰するひまわり社に入社し、1954年創刊の『ジュニアそれいゆ』にイラストや人形作品を掲載し始めます。たちまち人気沸騰、当時の少女雑誌の口絵や付録のイラストに引っ張り凧でした。

1971年には、ロンドン動物園で見たジャイアントパンダをモチーフに「ルネパンダ」を創作し、日本で初めてパンダを描いたアーティストと言われています。女の子よりも女の子らしい感性のルネさんでしたが、量産化されたキャラクターの氾濫によって苦難の時代 を迎え、1990年には詐欺に遭って全財産を失うなどのトラブルもありました。

ファッショナブルな少女画を描く一方、自伝でゲイであることを明かしているルネさんは、男性向けの同性愛雑誌『薔薇族』の表紙画を14年にわたって担当しました。ルネさんは、セクシャリティを超えた美を追求していたのでしょうか。現在でこそ「カワイイ」文化が持て囃されていますが、ルネさんはまさにこの先駆者と言えるでしょう。
(参考資料:内藤ルネ公式Webサイト、「かわいい」文化 礎築く「明治大正昭和あいち賢人」中日新聞2010年12月25日付)

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