静岡市と浜松市の中間に位置する袋井市。かつて袋井駅から南北にそれぞれ小さな鉄道が延びていました。その歴史を偲ぶ展覧会が同市内の2カ所で開かれています。
袋井は静かな町ですが、東海道の宿場町、遠州三山の門前町としても栄えた歴史があります。東海道線袋井駅開業13年後の1902年、遠州森町駅とを結ぶ秋葉馬車鉄道線(馬車鉄道、後の静岡鉄道秋葉線)が駅前に乗り入れました。輸送力増強のため1925年に電化され、「石松電車」の名で親しまれましたが、戦後のモータリゼーションによって輸送量が激減し、50年前の1962年に廃止されました。
もうひとつは袋井から御前崎方面に向かった後北上し、藤枝方面まで繋がる軽便鉄道。袋井からは新三俣(現掛川市)までの中遠鉄道線でしたが、戦時統合で静岡鉄道となり、戦後の1948年、藤枝から延びてきた藤相鉄道との間を延伸して駿遠線が誕生しました。日本最長規模の軽便鉄道でしたが、金銭面から大井川橋梁の架け替えが出来なかったことなどもあって、1970年に全線廃止となりました。
昨年11月、袋井市内に完成した浅羽記念公園内に、駿遠線を走っていた英国バグナル社製機関車の原寸大レプリカが設置され、市民に親しまれています。この公園の開園1周年を記念して隣接する浅羽図書館で22日まで開かれるのが「なつかしの軽便鉄道展」です。また、秋葉線については「石松電車走る展」が、建物自体が近代化遺産である澤野医院記念館で25日までの土日祝日のみ開催されます。
※問い合わせ先は袋井市教育員会生涯学習課文化財係=電話0538(23)9264。
(参考資料:『日本鉄道旅行地図帳 7号 東海』新潮社、「甦った中遠鉄道のバグナル。」鉄道ホビダス:編集長敬白2011年12月19日)