きょう11月13日はジャーナリストで参議院議員だった田英夫さんの命日です。「JNNニュースコープ」のキャスターとして、またハト派の政治家として親しまれましたが、2009年のこの日、86歳で亡くなりました。
田さんは1923年生まれ。祖父は貴族院議員や台湾総督を務めた元男爵・田健治郎という名門でした。東京帝国大学入学直後に学徒出陣で応召。特攻兵器である「震洋」の艇隊長として宮崎県で訓練を重ねていましたが、出撃命令が下る前に終戦を迎えました。島尾敏雄と同じ、この極限下の経験が、反戦平和への考えとジャーナリズムへの道を選ばせたのでしょう。
東大卒業後、共同通信社入社。社会部長などを経て1962年、TBSへ移り「JNNニュースコープ」の初代キャスターを務めました。しかし、ベトナム戦争に対しての報道姿勢が反米的であると自民党政府が圧力を掛け、TBS幹部は田さんを守りきれず、番組から降板させられます。1970年に退社し、その1年後、日本社会党公認で参議院全国区に立候補し、トップ当選します。
参議院議員になってからは社会党の改革を訴えましたが果たせず、社会民主連合を結成し代表に。1994年の社民連解党後、2つの小政党を経て1997年社会民主党に“復帰”しました。2001年、いったんは表明していた引退を撤回。これは米ブッシュ(子)政権発足など戦争への危機感ゆえのことです。繰り上げ当選となり、2007年まで落選中を除き34年間の議員生活でした。