きょう12月2日は「奴隷制度廃止国際デー」。折しも自民党の改憲案では、18条の「奴隷的拘束」をほかの文言に変更していることが波紋を広げているようです。
この日は1949年に国際連合総会決議317(IV)「人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約」が採択されたことを記念したものです。奴隷制は古代はギリシャ・ローマ、近代ではアメリカのものが有名。奴隷には人格は認められず、他人の私有財産として労働を強制されました。宗教的反感や人権意識の高まりとともに19世紀から各国で廃止されますが、現在でも、一部で公然、あるいは非公然に行われています。
この度の自民党改憲案では、現18条「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」を「何人も、その意に反すると否とにかかわらず、社会的又は経済的関係において身体を拘束されない。」としており、一見そんなに変わったようには思えません。ただ法律の文言を変更するからには、何らかの意図があると考えるのが自然なことだと思います。
ここでいう社会的・経済的とは何を指すのでしょうか。その関係以外なら拘束もあり得るのでしょうか。しかし自民党改憲案の問題は、先に森永卓郎さんが喝破したように、国民の基本的人権の大幅な後退です。12条、21条では秩序優先、公益優先の項目が入り、基本的人権は制約されています。集会、結社、言論、出版などの自由が蔑ろにされた社会は、たとえ身体的拘束がないとしても「精神的奴隷」となる社会でしょう。