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日めくり編集メモ 374

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舞台、映画での個性的なバイプレイヤーというより、晩年は芸能史研究の第一人者といわれるほうが多かったのではないでしょうか。放送大学客員教授も務めた俳優・小沢昭一さんが10日、83歳で亡くなりました。

小沢さんは1929年東京に生まれました。早大在学中に俳優座養成所の2期生として千田是也に師事。1954年から映画俳優に進み、その翌年から日活の専属となり川島雄三監督に出会います。彼の作品『幕末太陽傳』に貸本屋の金造(あば金)役で出演し、強い印象を残しました。今村昌平監督『「エロ事師たち」より 人類学入門』のスブやん役では毎日映画コンクール主演男優賞を受賞しています。

1969年、芸能の原点を求めて『私は河原乞食・考』を刊行した後は、門付けや瞽女(ごぜ)などの放浪芸からストリップまでさまざまな芸能の取材・研究に没頭しました。関連書を多く出版し、その実践として劇団「芸能座」や、自身だけの劇団「しゃぼん玉座」を主宰。井上ひさしさん原作の一人芝居「唐来参和(とうらいさんな)」を、1983年から2000年まで全国各地で660回上演しました。

1973年に始まったラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」も忘れることが出来ません。山本直純さん作曲の軽妙な音楽に乗せた、小沢さん一流の、時事問題や下ネタを絡めた「お父さん」へのエール。書籍、CD化されるほど人気を博し、昨年放送1万回を超えるほどの長寿番組でした。もう、あの雄叫びは聴けないと思うと本当に寂しい限りです。「明日の○○について考えるのこころだーっ!」

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