雑誌「ダカーポ」での独特の挿絵などで知られた画家・貝原浩さん。現在、岡山県各地で「貝原浩チェルノブイリ・スケッチ『風しもの村』原画・巡回展」が開かれています。
貝原さんは1947年、倉敷市生まれ。東京芸術大学工芸科VD専攻卒業後、画家としての活動のほかに、デザイナー、イラストレーターとしても活躍しました。ペン画、鉛筆画、筆絵など画風もさまざまで、本の装丁や舞台美術なども手がけました。現代書館から出版されたフォー・ビギナーズ・シリーズ(日本オリジナル版)の『戸籍』『全学連』『部落差別と人権』なども思い出されます。
1992年から貝原さんは、その6年前に起こったチェルノブイリ原発事故によって放射能汚染されたベラルーシをたびたび訪れました。シニカルな筆致は影を潜め、その土地と人々への温かい眼差しが感じられます。しかし、2005年6月30日、57歳の若さでがんのため亡くなりました。没後の2010年に、大判の『貝原浩画文集 風しもの村 チェルノブイリ・スケッチ』が出版されました。
この書には貝原さんの次のような言葉が。「…次代がまだあると考えるなら、原発の起した惨事が決して他人事でなく、まさしく日常と隣あわせにひそむ私達共通の悲劇です」。また、来年1月31日から2月5日まで神奈川県相模原市で、2月14日から20日まで東京・新宿で、貝原さんのスケッチと同時に、写真家森住卓さんが撮影した福島第一原発の写真の展覧会が開催されます。
※ 貝原浩チェルノブイリ・スケッチ『風しもの村』原画・巡回展は、12月28日まで総社市民ギャラリーで(24日休館)。その後、1月6日〜 14日サロン・ド・ヴァンホー(倉敷市)、1月16日〜 20日笠岡市民会館第2会議室、1月21日〜 25日津山市立図書館前スペース、3月1日〜 14日ドレミファミリアアートギャラリー(岡山市建部町)、3月16日〜 24日ギャラリー阿曾房(総社市)、3月26日〜 31日wacca farm 錦海寮(瀬戸内市)を巡回します。