安倍首相は、過去の植民地支配と侵略について謝罪した1995年に発表された「村山談話」に代わる談話を発表する意向ですが、海外メディアからは「歴史修正主義者」としてあからさまに警戒されているようです。
昨年末の産経新聞に掲載された単独インタビューで安倍首相は、従軍慰安婦問題をめぐる河野官房長官談話に関して、強制性を示す直接的証拠が見つからなかったと述べています。米ニューヨーク・タイムズ紙は「日本の歴史を否定する別の試み」と題した社説でこの記事を引用し、安倍氏の歴史修正主義を「恥さらし」とまで酷評しました。さらに、「北朝鮮の核問題などでアジア各国との重要な協力関係を台無しにする恐れ」を危惧しています。
また英国の保守系経済誌であるエコノミストは、安倍内閣を「恐ろしいほど右翼」と紹介し、「新内閣を“保守”と呼ぶのは本質を捉えていない。急進的ナショナリストの内閣である」と評しました。また、2%のインフレ目標導入政策を肯定した上で、その目標をどのように達成するかを注視。日本銀行への過剰な政策介入を誤りであると指摘し、「もし日銀が独立性を失い始めるなら、金融市場は警戒する」と、国債金利が上昇する可能性を警告しています。
好意的な評価もありますが、それは「ジャパン・ハンドラー」などとも言われる米戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン日本部長など一部に限られているようです。日本のメディアは今のところ安倍批判を控えているようですが、日銀の独立性を脅かすような意向にも表立った否定的報道は見られません。日本よりも海外のメディアの方が安倍内閣の極右的な側面に注目し、経済政策も含めて批判しているというのは、どうしたことでしょうか。