きょう1月13日は、『ズッコケ三人組』シリーズの挿絵で知られる前川かずおさんの20回目の命日です。没後もその画風を生かした挿絵によってシリーズは続けられました。
前川さんは1937年大阪市生まれ。大阪市立工芸高等学校建築科を中退し、貸本漫画でデビュー。漫画家の馬場のぼるを慕って上京し、彼の紹介で小学館学年誌にユーモア漫画を発表。1960年、花登筐原作のテレビコメディーを漫画化した『番頭はんとでっちどん』『崑ちゃん捕物帳』を連載し、人気を博します。1966年、『パキちゃんとガン太』で第11回小学館漫画賞を受賞しました。
1974年からはやなせたかし、手塚治虫らと漫画絵本の原画展を開き、これが後に「漫画家の絵本の会」となります。コマ漫画のほか、絵本、紙芝居など広い分野で活躍した前川さんが『ズッコケ三人組』シリーズの挿絵を描き始めたのは1978年から。それまで漫画家が児童文学作品の挿絵を担当することはありませんでしたが、作者の那須正幹さんからのたっての指名だったのです。
しかし、前川さんは1992年7月に白血病で倒れてしまいます。担当編集者である坂井宏先さん(現ポプラ社社長)は苦渋の決断として、前川さんの画風に似せての挿絵を高橋信也さんに依頼。夫人には「子どもたちが待っている」と訴え、その伝言を聞いた前川さんの了承を得ました。この年の12月、出来た本を我が事のように喜んだ前川さんは、その3週間後に55歳で亡くなりました。
(参考資料:石井直人、宮川健郎編『ズッコケ三人組の大研究 ファイナル』ポプラ社、フロントランナー「同族経営を脱し、児童書でヒット連発 ポプラ社社長坂井宏先さん(59歳)」朝日新聞Be 2006年3月18日付)