あす1月16日から31日まで東京・四谷4丁目の駐日韓国文化院「ギャラリーMI」で、韓国の風土と人々を撮影した「韓国を愛する巧 写真展『1970s-1980s 過ぎ去った韓国の日常』」が開催されます(日曜休館)。
この写真を写した藤本巧さんは、1949年島根県生まれ。その名の「巧」は、日本統治下の朝鮮で民芸・陶芸の研究に身を投じた浅川巧の生き方に感銘を受けた父親から名づけられたものだそうです。1970年8月下旬にその父親と一緒に初めて韓国を訪問したことをきっかけに、現在に至るまで韓国の生き生きとした姿をカメラに収め続けています。
初訪韓の頃はまだ朴正煕大統領が独裁を布いており、日本統治時代の記憶も生々しく、日本人作家が活動しづらい時期でした。撮影の際に警察の検問が来たことも。1974年の最初の写真集『韓びと』は、当時の韓国写真家の間で回覧されるほどの刺激剤になったといいます。しかし韓国で展覧会を開いたのは2000年代になってからのことでした。
2011年には4万7000点あまりの写真をすべて韓国国立民俗博物館に寄贈している藤本さん。今回の展覧会は、藁葺きの家や、釜山の市場で口げんかする女性、曲芸師の空中ブランコショーに驚く子どもの姿など、 1970年から80年代にかけて撮影された、先進国となった現在では見られなくなった何とも郷愁を誘われる写真が展示されています。
※ 同展は2月5日から19日まで、大阪・中崎町の在大阪大韓民国総領事館「ミリネギャラリー」でも開催されます(10日、11日、17日休館)。
(参考資料:「日本人写真家が42年間撮った韓国の70-80年代」中央日報日本語版2012年8月23日付)