15年前の1998年2月3日、イタリアのチェルミス山で米海兵隊の軍用機がロープウェイのケーブルを切断し、落下したゴンドラの20人全員が亡くなるという惨事は、世界に衝撃を与えました。
その日、アルプスのスキーリゾートとして知られるイタリア・チェルミス山近郊のカヴァレーゼ上空で、米海兵隊の軍用機EA-6Bプラウラーが低高度飛行訓練を行っていました。同機はリフトのケーブルをくぐりぬけようとして接触。ケーブルは切断されてゴンドラが80メートル落下、乗っていた20人全員が亡くなりました。同機は損傷したものの基地に帰還し、乗組員4人は無事でした。
最高高度とされていた1100フィートを大きく下回る260から330フィートという無謀な低空飛行や、海兵隊上層部と乗組員との間の責任のなすり合い、何より軍法会議での無罪評決はイタリア世論を一気に反米に向わせました。「チェルミスの虐殺」(Strage del Cermis)とイタリアでは名付けられ、抗議デモが何度も行われました。遂には米伊間の外交問題にまで発展したのです。
この事故と、在日米兵の起こす事件・事故との共通点は、米軍の“守られぬ規律”と“事故後の不誠実な対応”。心配されるのは、日本での米軍機の訓練です。沖縄本島では政府間合意が守られぬまま我が物顔でオスプレイが飛び回っているうえ、米軍は北海道を除く全国に7つの低空飛行訓練ルートがあることを公表しています。何か起きてからでは遅いのではないでしょうか。