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日めくり編集メモ 404

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6年前の2月23日、鹿児島地裁で「志布志事件」の被告全員に無罪判決が言い渡されました。この事件は、警察による選挙違反でっちあげという恐怖の構図が、決して過去のものではないことを世に知らしめました。

 

この発端は2003年4月に行われた鹿児島県議選挙でした。無風区といわれたこの選挙区に、当時の志布志町議・中山信一氏が立候補して当選。しかしその翌日から警察の異常な捜査が始まります。嫌疑は「県議選に絡む買収の会合が開かれ、現金の授受をした」ことですが、予め作られた筋書に沿った自白を強要し、これに従わない人には捜査官が「お前が間違っていれば拳銃で撃つ」などの暴言を吐いたということです。

中でも、選挙運動に関わった中山氏の従兄弟に「踏み字」をさせた取り調べには呆れるとしか言いようがありません。全面的に否認していたこの人に対し、父・義父(妻の父)・孫の名前や、「早く正直なじいちゃんになって」などの捏造されたメッセージを書いた紙を強引に踏みつけさせようとしたのです。理解できないほどのあまりに酷い捜査によって彼は精神的苦痛から体調不良となり、入院を余儀なくされました。

買収したとされた中山氏は1年以上、短い人でも100日以上の長期の勾留となり、その間の違法な捜査手法は、完全無罪判決で断罪されました。しかし警察の体質が変わらない限り、このような冤罪は起こり得ます。捜査・取り調べ段階の透明性を図る可視化が一層求められます。なお、県議会で「自白の強要はなかった」と答弁した倉田潤・鹿児島県警本部長はその後も警察官僚としての主流を歩き、現在警察庁交通局長です。
(参考資料:「日本全国憲法MAP 鹿児島(2)」法学館憲法研究所ホームページ

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