マガ9editor's room

マガ9編集部発の情報やスタッフが書いたコラムを随時お届けします。

日めくり編集メモ 415

| トラックバック(0)

3月5日、『ルパン三世』シリーズで長らく銭形警部の声優を務めた納谷悟朗さんが亡くなりましたが、その好敵手であるルパン三世役の山田康雄さんの命日は1995年3月19日。もう18年も経つんですね。

山田さんは1932年東京生まれ。1953年に早大を中退して劇団民藝研究生となりますが、自身のやりたかったコメディが出来ず基礎練習ばかりに耐えかね、1年で退団してしまいます。1958年、熊倉一雄さんに誘われて劇団テアトル・エコーに入団、同年8月に初舞台。熊倉さんから勧められたこともあり外国ドラマの吹き替えを始め、クリント・イーストウッドは彼の持ち役になりました。

テアトル・エコーといえば、1969年から1975年まで井上ひさしさんの作品を上演していたことでも有名です。山田さんは『日本人のへそ』『表裏源内蛙合戦』『珍訳聖書』などで主役や準主役を務めました。ルパン三世の声優は1971年の第1作スタート時から担当し、また「お笑いスター誕生!!」の司会者も。まさに八面六臂の大活躍ですが、山田さんの心は常に舞台とともにありました。

「声優でなく役者を目指せ。演技は全身でするものだ」が口癖で、「声優は役者の仕事のひとつ」というスタンスは納谷悟朗さんも同じ。しかし声優の仕事を軽んじていたわけではなく、むしろその地位向上に尽くしました。吹き替えをやっても再放送のギャラは不払いだったことに抗議し、テレビ局にデモをしたことも。現在では当然のことを勝ち取ってきたのが山田さんだったのです。
(参考資料:「ルパン三世も涙…25年目の“終演”山田康雄さん逝く」スポーツニッポン1995年3月20日付、テアトル・エコーホームページ

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://daily.magazine9.jp/mt/mt-tb.cgi/1021