日米両政府が合意した、嘉手納基地以南の米軍施設返還計画。新聞には大きな見出しが躍り、進展があったように見えますが、これは見せ掛けであり、むしろ後退というべきです。
2022年度以降に普天間基地返還。字面だけ見ると新しい進展があったようですが、辺野古への移設が前提であり、これが進まなければ空証文です。昨年4 月、日米両政府は、返還と辺野古移設をパッケージにしないと発表したはずが、今回はこれが復活し、その前の2006年合意の「パッケージ論」まで後退してしまいました。
今回のこの合意は、県内を北部と中南部に分断しようという意図を感じます。基地を北部に集約させることで、人口が多い中南部の理解を得ようとでもいうのでしょうか。しかし、たとえそうなったとしても、北部の基地からの軍用機は県全域を我が物顔で飛び回るでしょう。MV22オスプレイの例を出さなくてもそうなることは明白です。
沖縄じゅうが反対している県内移設に対し、それなら返還は出来ないと恫喝しているも同然の日本政府。県内で玉つきのように基地機能を移動させるだけでは、その負担は減るわけがありません。結局の狙いは基地の固定化なのでしょうか。普天間返還合意から17年、那覇軍港にいたっては40年近い年月が流れています。