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日めくり編集メモ 434

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東京・渋谷駅に掲示されている岡本太郎の壁画『明日の神話』に、原発事故の絵を付け加えたことで物議を醸した芸術家集団「Chim↑Pom(チン↑ポム)」。これが縁で、岡本太郎記念館で彼らの企画展が開催されています。

Chim↑Pom は、2005年に東京で結成されました。その作品は強い社会的メッセージを持ち、映像作品を中心に、インスタレーション、パフォーマンスなど、表現形態は多岐にわたります。2008年10月、被爆地である広島市の上空に、飛行機雲で「ピカッ」という文字を描いたことが問題になったことも。海外の展覧会やプロジェクトにも多く参加しており、また、美術専門誌監修や展覧会のキュレーションなども行っています。

2年前の5月、『明日の神話』の片隅に、煙を上げる東京電力福島第一原発の絵が付け足されました。新聞記事やテレビニュースでは「悪質ないたずら」と報じられましたが、岡本太郎の画調や筆致を研究し、壁画の右下に連続するよう計算して一体の絵に見えるように作られたものでした。Chim↑Pom は、壁に絵を張り付ける様子を写した映像と原画をギャラリーで公開して、自分たちの作品であると明かしたのです。

岡本太郎記念館館長の平野暁臣さんは「悪ふざけではなく、表現になっている。これをやったゲリラを正規のリングに立たせたら、いったいなにをするのだろう」と考え、 Chim↑Pomと話し合い、今回の企画展「PAVILION」が実現しました。岡本太郎とのコラボレーションはどの作品も実に刺激的です。先述の、付け足された『Level7 feat.明日の神話』は館内の岡本太郎のアトリエに展示し、同館に寄贈するということです。
※ 企画展「PAVILION」は、岡本太郎記念館(東京都港区南青山6-1-19 電話03-3406-0801)で7月28日まで(火曜休館)。

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