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日めくり編集メモ 441

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あす5月22日は、音楽評論家・随筆家の吉田秀和さんが98歳で亡くなってちょうど1年。筆者には、FMラジオで親しんだあの声が懐かしく思い出されます。

吉田さんは1913年、東京・日本橋区生まれ。関東大震災の前年に郊外に引っ越し難を逃れました。父が北海道・小樽の病院長に就任したため一家で転居。旧制小樽中学で伊藤整に英語を、旧制成城高校では中原中也にフランス語をそれぞれ教わり、小林秀雄や大岡昇平とも交友するなど、若い日の師弟・友人関係は幅広いものでした。1936年に東京帝国大学仏文科を卒業後、翻訳に携わります。

戦後、雑誌「音楽芸術」に「モーツァルト」を連載し本格的に音楽評論活動を始め、1953年の『主題と変奏』でその地位を確立。一方、井口基成や齋藤秀雄らと「子供のための音楽教室」を1948年に創設し、初代室長に就任。これが桐朋学園大学音楽学部の母体となりました。ここで学んだ小澤征爾さんは、既存の学校との違いを「ソルフェージュを重んじたことと、合奏を大切にしたこと」と語っています。

長期にわたって朝日新聞に連載した「音楽展望」や、NHK-FM「名曲のたのしみ」の司会などでは音楽評論の先導的役割を果たしました。その言葉は平易にして深い洞察を兼ね備え、対象も音楽だけでなく美術や文学にまで。1988年に水戸芸術館の館長に就任し、小澤さんを音楽顧問とする管弦楽団を創設。2006年には文化勲章を受章しますが、その後も亡くなる直前まで精力的に活動を続けました。
(参考資料:吉田秀和さんを偲んで「すばる」2012年8月号)

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