『グイン・サーガ』『魔界水滸伝』『伊集院大介』シリーズなど数々の長大な小説や、『文学の輪郭』などの優れた評論を遺し、56歳の若さで亡くなった栗本薫(中島梓)さんの命日は、きょう5月26日です。
栗本さんは1953年東京生まれ。 高校在学中は文芸部部長を務め、早稲田大学第一文学部へ。文芸科では平岡篤頼教授に師事し、卒業後その推輓もあって「別冊新評 筒井康隆の世界」に掲載された評論『パロディの起源と進化』で商業誌デビュー。1977年に中島梓名義の『文学の輪郭』で第20回群像新人文学賞評論部門を、翌年には『ぼくらの時代』で第24回江戸川乱歩賞をそれぞれ受賞し、20代前半で売れっ子作家になりました。
大長編として知られる『グイン・サーガ』や『魔界水滸伝』、『伊集院大介』シリーズのほか、SF、ミステリ、ファンタジー、時代、伝奇、ホラー、耽美など小説のジャンルは多岐にわたり、また評論やエッセイも。多作、早書きで知られ、生涯に約400冊もの作品を発表しました。また、耽美小説誌 「JUNE」では「小説道場」を連載し、自分の創作・執筆テクニックを若い作家志望者に伝授。雑誌の休刊後は直接教える「中島塾」を主宰していました。
また、テレビ朝日「クイズヒントでピント」の女性軍キャプテンとしての出演、バンドでの音楽活動や歌舞伎の脚本執筆など、まさにマルチな才女として知られましたが、その後半生は癌に悩まされました。1990年に乳癌を発症、入院・手術して克服。しかし、その17年後今度は膵臓癌に。手術の甲斐なく、癌は肝臓に転移し、闘病しながら執筆を続けましたが、2008年膵臓癌で死去。絶筆となった闘病記『転移』は、その翌年刊行されました。
(参考資料:私の生きる道「がんは『優しい』病気です」がんサポート情報センターホームページ)