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日めくり編集メモ 459

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先日のマガ9学校にもおいでくださった想田和弘監督の観察映画『選挙』が明日2日、東京・日比谷図書館で上映されます。しかし実は、寸前になって中止に追い込まれそうになったのです。

想田監督の映画は、台本やナレーション、BGMなどを排し、ドキュメンタリーの方法を提唱・実践した独特のもので、自ら「観察映画」と称しています。徹底的に観察することで、良いことも悪いことも、その対象物のあらゆる特性が浮かび上がってきます。先述の『選挙』はその第1弾で、その後『精神』『Peace』『演劇』『演劇2』と続き、7月6日からは、『選挙』の主演である山内和彦さんが再び立候補した姿を追った『選挙2』が上映されます。

今回の悶着は、想田監督のブログなどから総合すると、以下の通りです。上映やそれに伴うトークなどの開催日程は既に決まり、チラシ印刷や告知も済んでいたにもかかわらず、日比谷図書館を管轄する千代田区図書・文化資源課が参議院選挙前のタイミングに懸念を示したことで、共催である配給会社に一言の相談もなく、図書館を運営する指定管理会社が中止を一方的に決定。結局、配給会社が単独開催することになったのです。

しかし元々は指定管理会社の発案からの上映会だったそうですから、区の意向を必要以上に忖度したか、区が白を切っているか。いずれにせよ、社会の隅々にまで充満した「ものを言いづ らい空気」こそが上映中止に追い込もうとしたのでしょう。想田監督はこの経緯を公表し、2日の上映後のトークでもこの問題について語りたいと提案しています。「語ることはタブーだという雰囲気があるが、そのタブーこそが問題だと思うのだ」と。

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