そこにあった名は北陸電力の新木富士雄会長。基本報酬が900万円で、退職慰労金（打ち切り支給分）が2億4100万円。計2億5000万円となり、同誌のランキングで言えば堂々の37位です。基本が低く、それに比べて慰労金が異常に高いのは高給批判を避けるためでしょうか。外の世界でも通用するような「プロの経営者」としての報酬ならともかく、電力会社は地域独占であり、競争にさらされるわけでもありません。

東京電力の清水正孝前社長は、5月の国会での参考人招致で、原発事故の賠償財源のために社員の退職金や企業年金を削減すべきではないか、との指摘に対し「老後の生活資金に直結する。現時点では検討していない」と拒否しました。その後この方針が変えられたとも聞いていませんので、未だに退職金や企業年金は満額支払われているのでしょうか。清水前社長自身、退職金は5億円とも6億円とも言われています。

電気事業法によって、地域独占が認められている代わりに電気供給の義務があることは前回の小欄でも記しましたが、そんな公共性の高い事業者の役員報酬としては高すぎるのではないでしょうか。ましてや東電は、福島原発事故という過去に例を見ない大惨事をひき起こしているわけで、その状況下このような高額報酬を得ていることに後ろめたさすら感じないのであれば、それは「人の道」を踏み外しているとしか思えません。

（参考資料：「週刊ダイヤモンド」2011年7月16日特大号）