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日めくり編集メモ 169

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資源エネルギー庁が、風評被害防止を口実にツイッターやブログなどインターネット上の情報監視の入札を公告したことは、小欄でもお伝えしましたが、この事業を落札した企業は広告会社のアサツー ディ・ケイ(ADK)でした。広告会社とはいったい何なのでしょう。

日本の広告会社の始まりは、1873年に創立した内外用達社が業務の一環として広告取次ぎを行ったところから。当時はちょうど新聞の勃興期で、この広告スペースを売買する会社が次々と生まれ、1885年には博報堂、1901年には現在の電通の前身が誕生しています。当初はスペースブローカーに過ぎなかった広告業が変容するのは、戦後に民間放送が始まってから。米国からマーケティング理論が導入されて科学化が推し進められ、マーケティングはもちろん、コミュニケーション全般にわたって多角的に展開しています。

世界の広告会社ランキングでも電通が5位、博報堂DYホールディングスが8位、ADKが15位と上位にありますが、国内に限ると上位2社の寡占状態です。また「一業種一社」「一商品一社」の原則が貫かれず、海外の広告会社からその特殊性を指摘されています。また、主要スポンサーと媒体との間を取り持つ役割が次第に大きくなり、今や広告収入に頼る民間放送の生殺与奪の権を握っていると言っても過言ではありません。選挙などの際の政党広告も手がけ、先述の技術を多用してイメージ戦略を仕掛けているのです。

広告業界にとって重要なことは、事実や正邪ではなく、「いかに効果的な」宣伝で「いかに多くの」マージンを得るか。確かに「買わせろ」「使わせろ」「浪費させろ」と繰り返し宣伝してきた彼らの「洗脳」によって戦後経済成長は発展してきた部分があります。その成功体験が広告会社に自信を与えたのかもしれません。その自信とは「人の心を操ること」。買わせるように仕向けることとは違う気がしますが、今回のADKによるメディア監視事業への参加は、この業界の異常な貪欲さを象徴するかのような出来事でした。

(参考資料:アサツー ディ・ケイ(ADK)ホームページ「世界の広告会社ランキング」インターネット広告のひみつ

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