昨年9月に、命名権(ネーミングライツ)について小欄で取り上げましたが、大阪府泉佐野市が財政難を理由に市名の命名権売却に乗り出すとの報道を知り、仰天しました。
泉佐野市は大阪府南部に位置し、人口およそ10万人。1948年、泉南郡佐野町が市制移行した際、地名に「泉」を付けて誕生しました。関西国際空港が開港するまではタマネギやタオルが特産として有名でした。1994年の開港に伴い、大型プロジェクトの開発を進めましたが、思うように税収は伸びず、財政は急激に悪化。2009年には、破綻一歩寸前の早期健全化団体に指定されてしまいました。
市では、幹部の給与カットや退職金制度の廃止、職員給与のカットなど歳出削減とともに、市のホームページや封筒などに広告を掲載するなど歳入確保のために躍起になっているようです。しかし、市名の命名権売却とは、さすがにやりすぎの観も否めません。住民への説明や府知事との協議、市の条例改正などハードルも高く、さらには市名変更の経費増も懸念され、実現には疑問符がつきます。
何よりも、名乗り出る企業が現れるのでしょうか。財政再建のためなら相当な額になるのでしょうが、「市名をカネで買った」と言われる危険を冒す企業が出てくるとも思えません。前にお話しした神戸総合運動公園野球場のように、契約期間付きのため名前がころころと変わっていつまでも定着しないなどということは市名では許されません。この騒動、泉佐野市民はどう見ているのでしょうか。
(参考資料:泉佐野市ホームページ、「泉佐野 市の名前売ります…財政難で苦肉の策」読売新聞2012年3月21日付)