もうすぐ沖縄慰霊の日。この日を前に那覇市歴史博物館(パレットくもじ4階)では、きょう15日から27日まで「沖縄戦と日本軍『慰安婦』展」が開催されます(21日休館)。
沖縄は日本で唯一、酸鼻を極める地上戦が行われたことは有名ですが、軍が展開したところには慰安婦の影もありました。離島も含めた全県に130以上もの「慰安所」があったのです。今回の展示は、琉球王国時代からの公娼制度である辻遊廓などにも目を配りつつ、日本軍の沖縄配備とともに本格化した慰安所設置と「慰安婦」にされた女性たちの被害に焦点を当てるということです。
東京のニコンサロンでは、元慰安婦の女性を写した写真家アン・セホンさんの写真展を開く予定でしたが、脅迫もあって中止に追い込まれました。先日の小欄でお伝えしたとおり沖縄でも、説明板から「慰安婦」などの文言を削除するなど、戦争の実相を矮小化したい人々がいるようです。そんな中、歴史を直視するこの展覧会の開催は、「歴史」博物館の名に相応しいといえるでしょう。
性暴力の被害といえば、戦後米軍統治下で米兵による数々のレイプ事件が発生しました。報復の恐怖や周囲の偏見、取り調べの際のセカンドレイプを考え、被害届を出せない被害者。自尊感情は損なわれ、心の傷を負った己を責めるばかり。そして復帰後も米軍基地が集中するこの地では、構図は変わっていません。戦時、平時にかかわらず、性暴力による人権蹂躙はつながっています。
(参考資料:安次嶺美代子「沖縄戦と日本軍『慰安婦』展に寄せて」琉球新報2012年6月14日付、琉文21「06/03: 沖縄戦と日本軍『慰安婦』」)
※ 16日14時からは、高里鈴代さんによるギャラリートークが開かれます。