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日めくり編集メモ 186

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小欄第175回で、沖縄・八重山地区での公民教科書選定をめぐっての混乱を報告しましたが、その後第181回の欄外に「全教育委員で構成される地区教育委員協会の採決によって育鵬社版を不採択とし、東京書籍版の採択を決定」と書きました。さらにその後情勢が変化しましたのでお伝えします。

玉津博克・八重山地区協議会会長が、同協議会を非公開とし、選定は無記名にするなどこれまでの採択方法を次々と変更したことから始まったこの問題。収束しそうでしたが、今度は東京の文部科学省から矢が飛んできました。9月13日の閣議後記者会見で中川正春文科相は「協議は整っていない」などと述べ、この全員協議が不成立であるとの認識を示しました。これは石垣市と与那国町の教育長からの異議申し立てがあったことによります。さらに今後の対応について文科省が関与していく姿勢も見せたとのことです。

しかしこれは、地方教育行政に対する国の越権行為であり、断じて許されるものではありません。地方教育行政法は教科書の採択権を市町村の教育委員会にあると定めています。また、教科用図書無償措置法についても、これは国の財政要件を定めたものでしかなく、これをもって一本化しなければ教科書の無償措置ができない、と脅すのも変な話です。「同じ採択地区では…同一の教科書を採択しなければならない」とありますが、同一でなかった場合を想定していないのですから、制度の不備こそが問われるべきでしょう。

先述の2市町の教育長からの異議申し立てと同時に、3市町の教育委員長は協議の有効性をアピールする文書を県教育庁と文科省に送付し、異議申し立てについては、「教育委員会の議を経ておらず、公務文書としての機能を有していない」と対立しています。そもそも教育長は教育委員会の事務執行責任者であって、教育委員会を代表するのは教育委員長です。県教育庁があらためて3市町に一本化を促したことで、再び3市町の教育委員による協議が行われるようですが、国の不当な介入を阻んで堂々と結論が示されることを望みます。

(参考資料:琉球新報沖縄タイムス

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